ED治療薬は医師の処方が必要な医薬品です。インターネットなどでの個人輸入によるED治療薬の安易な使用はお控えください。
ED治療薬は医師の処方が必要な医薬品です。インターネットなどでの個人輸入によるED治療薬の安易な使用はお控えください。
ED(勃起障害・勃起不全)の自覚があっても、疲れなどのせいにして解決を先送りしてしまっているのではないでしょうか。自分がED(勃起障害・勃起不全)だとは認めたくない気持ちもよく分かります。でも放置しておけば、悪化するばかりの可能性が高い。ご自身のため、そしてパートナーのため、早めに受診して解決なさるようお勧めします。
監修 松木泌尿器科医院 院長 松木孝和
ED(勃起障害・勃起不全)とは、まったく勃起しない状態と考えていいのでしょうか?
ED(勃起障害・勃起不全)は「まったく勃起ができない」状態だけをいうわけではありません。
ED診療ガイドラインには、「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、又は維持できない状態」と定義されている通り、勃起の硬さや持続時間が不十分で、自分自身やパートナーが満足できない状態などもED(勃起障害・勃起不全)の可能性があります。また「たまに勃起しないことがある」、「勃起できるか不安になる」などご本人が勃起に満足を感じられない場合もED(勃起障害・勃起不全)であり、十分に治療対象となります。
一般的に使用されているEDセルフチェックの合計点数が21点以下の場合、ED(勃起障害・勃起不全)を疑うことができます。しかしこの問診票の結果だけで診断することはできません。少しでも気になるようなら医療機関を受診し医師へご相談ください。
ED(勃起障害・勃起不全)の原因は何でしょうか?
リスクファクターとして考えられているものには、加齢、喫煙、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満、運動不足、うつ症状、下部尿路症状、前立腺肥大症、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、神経疾患、不妊症、薬剤など多岐に渡ります。
原因は人によってさまざまですが、大別すると以下の4つに分類されます。
陰茎の動脈硬化の進行や神経の障害などが原因となって起こるものです。例えば加齢や生活習慣の影響で動脈硬化が進むと血管が十分に拡がらず、陰茎海綿体への血流も低下し十分な勃起が得られなくなります。
ストレスや緊張など精神的なものが原因となって起こるものです。ただ精神的な原因だけによるED(勃起障害・勃起不全)となると、性行為に緊張しすぎた20-30代の若い方の例が典型的でしょう。また最近では、不妊治療をされているご夫婦もED受診されるケースが多いです。精神的なストレスが引き金となっているのでしょうね。中高年の方々は、体と心の両方に原因があるケース(混合性ED)がほとんどですね。
ED(勃起障害・勃起不全)の現状をみると、ストレスだけが原因、あるいは動脈硬化の進行や神経に障害があるだけが原因ということは少なく、どちらの要素も合わさった混合型EDが多いと考えられています。特に、糖尿病や高血圧、外傷などに精神的な要素が加わってED(勃起障害・勃起不全)になっていることが多いといわれています。
一部の種類の薬剤には、ED(勃起障害・勃起不全)の原因になると言われているものがあります。
降圧薬、精神神経用薬、ホルモン剤、抗潰瘍薬、脂質異常症治療薬、呼吸器官・アレルギー用剤、非ステロイド抗炎症薬など
ED(勃起障害・勃起不全)は心血管疾患の前兆といわれているようですが?
確かにED(勃起障害・勃起不全)の背景にあるメタボリックシンドロームや動脈硬化は全身の問題。陰茎の動脈は細いため、動脈硬化の比較的早い段階でもED(勃起障害・勃起不全)という自覚症状が現れるのです。そこでED(勃起障害・勃起不全)は、いつか起こるかもしれない狭心症や心筋梗塞などのサインとも呼ばれています。
ED(勃起障害・勃起不全)の治療は、何科を受診すればよいのでしょうか?
性機能の専門医(日本性機能学会専門医)は、ほとんどが泌尿器科医です。ただED治療薬は、最近は内科などで処方される例も増えつつありますのでかかりつけ医にお話して紹介してもらうことも可能です。
ED(勃起障害・勃起不全)の診察では患部を見せたり、下着を脱いだりしなければならないのでしょうか。
ED(勃起障害・勃起不全)の診療は、問診が中心となります。患部への触診は必要に応じてなされます。病院によっても考え方が違うので、気になる方は診察前に問い合わせるとよいでしょう。
問診票にはどのような内容のことが書かれているのでしょうか。
病院・クリニックによって異なってくるかと思いますが、基本的には「現在までの身体の症状の把握する」目的で、身長、体重、喫煙歴、病歴、心身に問題がないかを尋ねられます。また「ED(勃起障害・勃起不全)の程度を調べる」目的で、勃起や性行為の満足度を申告する場合もあります。一般的にはIIEF5と呼ばれる国際勃起機能スコアが用いられます。IIEF5とはED(勃起障害・勃起不全)の診断手法のひとつで、臨床試験でも使用された「国際勃起機能スコア (IIEF) 」がもとになる診断テストです。
治療費はどのくらいかかるのでしょうか?
ED治療には健康保険が適用されません。必要となる検査や、各医療機関の費用設定によって治療費が異なってきます。ホームページで治療費の目安を紹介している医療機関もありますので受診前に医療機関のホームページで情報を収集したり電話で問い合わせした方がよいと思います。
診察室では、どんなことを聞かれ、どんな検査を受けるのでしょうか?
問診票をもとに、ED(勃起障害・勃起不全)の状態や他の病気の有無、常備薬の有無、嗜好品の有無などをお尋ねします。必要に応じて血圧・脈拍測定や心電図検査、血液検査などを行うこともありますが、気になる場合は、事前に電話で教えてもらうといいでしょう。常備薬については、ED治療薬との飲み合わせで一緒に服用してはならない薬を服用されていないか確認するために重要ですので、常備薬がある方は必ずお申し出下さい。
ED治療は、どのように行うのでしょうか?
問診で患者さんの希望を聞いた上で治療法を決めますが、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬を第一選択として処方します。この薬剤は、陰茎の血管を広げて、血流をよくする薬で、性的な刺激を受けたときだけ、勃起を助け、持続をサポートします。PDE5阻害薬で効果が不十分だったり、重篤な副作用が出た方、また、PDE5阻害薬が投与できない患者さんなどには陰茎海綿体注射、陰圧式勃起補助具、体外衝撃波(ED1000)などの選択肢があります。
ED(勃起障害・勃起不全)治療薬の服用にあたって注意しなければいけないことはありますか?
ED治療薬は3種類が国内で承認されています。血管に作用する点は共通ですが、食後に飲むと効き目が現れにくいもの、即効性があるもの、効果の時間が長いものなど処方時に医師から説明されるはずです。また脂っこい食事後の服用、性的刺激をしていない、内服タイミングの間違い、数回しか試さなかったなど初期治療の失敗例として報告されています。種類によって効いてくるまでの時間や、効き目が続く時間にも差があるので、処方の段階で医師とよく相談して選び、正しいタイミングで服用してください。
万が一、ED治療薬を服用しても効果が感じられなかったらどうすればいいでしょうか?
あきらめてはダメです。実は、そういう方の多くは、脂っこい食事後に服用されていたり、性的な刺激を受けていなかったり、服用するタイミングを間違っていたり、1-2回しか試していないなど不適切な服用をしている可能性があります。私の個人的見解では、飲むタイミングに問題があるケース、あるいは、たまたま体調が悪かったという方が多い印象です。数回は薬を正しく使ってみて、それでも「おかしいな」と思ったら医師に相談ください。専門医は、薬の用量を変えたり、他の治療法を検討ご提案することができます。
ED治療薬の副作用や他の薬との飲み合わせについて教えてください。
ED治療薬は、血管を拡張するお薬ですので、個人差はありますが、なかには顔がほてったり、少しドキドキする、目の充血などを訴える方がいらっしゃいますが、それらは血流がよくなることの影響といえるものです。他には、頭痛、動悸、鼻づまりなどもあります。もしなにか違和感があったらきちんと医師に相談してください。
飲み合わせについては、狭心症の薬で使用されている硝酸剤(ニトログリセリン)など併用できない薬や使用時の注意が必要な薬剤があります。医師等の処方箋が必要な医薬品ですので、インターネットで購入したり、友達から貰ったりしたものを安易に服薬してはいけません。
ED治療薬を服用すると勃起したままになると聞いたのですが、本当ですか?
ED治療薬は、陰茎の血流を改善し勃起を助けるお薬ですので、服用しても性的な刺激や興奮がなければ勃起しません。
医療用のED治療薬がネット上でも販売されているようですが。
ネット販売のED治療薬は、半数近くが偽造品との調査データがあります。絶対に使用しないでください。当院にも、よく「ネットで買ったが、まったく効果がなかった」という方がいらっしゃいます。
偽造品にだまされたことで、ED治療をあきらめたのでは、本当にもったいない。必ず医療機関で診察と処方を受けましょう。また、偽造薬には効果がないだけならまだしも、生命にかかわるような事故も起こっています。
※ED治療薬は処方箋医薬品です。
必ず医療機関で診察を受けましょう。